「お昼休み、昼ごはん持ってまた教室に来て」
「は、なんで……そんな時間ないし……」
「反抗すんの?じゃあはい12万」
遥琉はそういうとニコニコしながら私に手のひらを見せる。
くっ、こいつ……。
グッと唇を噛み締めていると、私たちのやりとりにみんなの視線がどんどん集まってくる。
答えないでずっとこうしてる間にも、周りからあることないこと想像されてへんな噂を広められるかもしれない。
「もう、わ、わかったから」
しょうがないので小さく返事をすれば、目の前の悪魔は満足そうに手の平を下げた。
最悪。
お昼休みは唯一、依茉ちゃんとオタクトークに花を咲かせられる時間だって言うのに。
遥琉のせいで何もかもめちゃくちゃだ。
「……海風?」
さっさと教室に戻ろうと踵を返した瞬間、聴き慣れた声がしたので顔をあげる。
「依茉ちゃんっ!」
なんと、安定の可愛さ全開の依茉ちゃんが立ってるではありませんか。



