「……あそう」

最低なことしてても顔が良ければ心配ないってか。

っていうか、遥琉は私と並んで歩くこと、嫌じゃないわけ。

てっきり、嫌われているとも思っていたから調子狂う。

いや、嫌いだからわざわざうちに押しかけてまでして脅しに来るのか。

嫌いなら関わらなければいいのに。

今まで、まるで他人みたいにしちゃってくせに。突然こんなふうに関わってくるんだもん。

「ん、ご苦労さん」

「……」

遥琉の教室の前に着いてから、やっと私の手から彼のカバンが離れる。

ドアの前で行われてる私と遥琉のやりとりに、遥琉のクラスの人たちは興味津々。

早くこの場から消え去りたいよ。

高校で遥琉と関わらなくなってやっと平穏な学校生活を送れるようになったっていうのに。

「じゃあ、私はこれで……」

今にも消え去りそうな声でそう呟いてさっさと自分の教室に戻ろうとすると、

「ストップ」

と言う遥琉の声。

まだなんかあるのかよ……。