「はいこれ」

突然、遥琉に差し出されたのは、遥琉のカバン。

「え、何?」

「持って」

「は……?」

なんで私が、遥琉のカバンを持たなきゃいけないんだ?

「お金を払う代わりに、俺の言うことなんでも聞く」

ん?
またもや彼の日本語が理解できなくて思考停止。

「……え、何、それ……」

「12万円分、俺のために働いてもらう」

「……はい?!意味わかんない!そんなの、絶対─────」

「じゃあ今すぐここで現金もってこられる?まったく同じモデルのスマホ買ってくる?」

「……いや、それは」

こんなの恐喝だよ、脅しだよ。

おまわりさん、犯人はここですよ。
今すぐ逮捕してください。

「海風さ、自分の置かれた状況まだ理解してないみたいだけど、今の海風に拒否権なんてないからね。はい、カバン持つか、お金払うか、どっちかにして」

どんだけ心の中真っ黒なんだよこいつ。
情け容赦ないかよ。

新しいスマホの画面が割れちゃったことは、ちょっと申し訳ないと思うけど。

だからってこんなやり方……。