「弁償してよ。12万」
耳を疑う数字に、目が開く。
ちょっとなに言ってるかわからないんですが。
じゅうにまん?!
「は、なに言ってんの。バカじゃん。12万とか」
そんなの払えるわけない。
私のごくわずかな貯金でさえそんなにない。
「本体価格。最新モデルなの。これでも3万は下げてるよ」
「はぁ?!なんで私のせいなのよ!遥琉の不注意でしょ」
「うん。だから3万は下げてる。俺の反射神経が天才的ならこの悲劇は免れたかもしれないけど、俺、普通の人間だから」
とニコッと笑った遥琉。
学校で顔も学力も運動神経も完璧だと注目を浴びてる彼の口から『普通の人間だから』と言われても、嫌味にしか聞こえない。
そもそも、遥琉が私に突き飛ばされたのは、あんなことをしたせいでしょ?



