「じゃーん。これ、海風に突き飛ばされた拍子で落ちて割れたんだよね〜」
そう見せられたのは、画面の半分ほどに亀裂が入ったスマホ。
なんとか使えそうではあるけれど、かなり目立つ。
突き飛ばしたって、もしかして、エレベーターで遥琉が私に……キ、キ、キスしたときの話?
いや。
いやいやいやいや。
なんで私のせい?!
突き飛ばしたけれど!!
私のせいで割れたなんて証拠なんてどこにもないじゃん。
「しかもこれ、先週新しくしたばっかりなんだよね」
そう言って、警察官が犯人を尋問するみたいに顔をグッと近づけてくる遥琉。
「……っ、いや、知らないよ。私みてないしっ」
無言の圧をかけてくる遥琉にそう反論すれば、フッと力が抜けたように笑った彼が口を開いた。
「安心してよ。エレベーターの修理してくれた管理会社の人もしっかり一部始終目撃してるから。証人ならちゃんといる」
「うっ、……な、なにが言いたいのよっ」
遥琉から一歩下がってそう聞く。



