「……なにしてんの」

驚きのあまりパジャマのまま玄関に向かうと、うちの玄関のドアに身体を預けた遥琉が涼しい顔をして立っていた。

「何って、海風に話があって。話しがてら一緒に登校しようかと」

「……は、なに言って……」

「ひゃー!なんの話しかしら♪んもう遥琉くんほんっとにかっこよくなっちゃって!海風とも話してたのよ〜!高校生になってもちゃんと挨拶してくれるし爽やかだし、ママ、海風が遥琉くんと────」

「あーも!ママは黙ってて!私は別に遥琉に話しなんてないから勝手に行ってよ!」

迎えに来るとかバカなんじゃないか。

ってか、遥琉がカッコよくなった〜なんて前に話してたのはママだけで。

私は特に反応せずにスルーしたよ。

今の言い方だと私も遥琉のことかっこいいって言ってたみたいじゃん!

「ちょ、海風なんてこというのよ!昔は仲良くふたりでよく遊んでいたじゃないの」

「昔はね。今は違うの」

ほんと母親ってなんでこうもペラペラしゃべりたがる生き物なんだろうか。

私と遥琉が少し特殊なことぐらい、私たちがお互いの家をピタリと行き来しなくなった段階で気付くものでしょう。