「すみません!実は先程も別件でエレベーターの故障があって、到着が遅くな──────」

「さいってい!!だいっきらい!!」

「えっ……」

開いたドアから管理会社の人がこちらに話しかけてるのなんてお構いなしに、

私は、遥琉のことを突き飛ばした。

すっ転べばいいのに、ちょっとよろけただけの彼に、私の怒りは収まらない。

「すみません、ありがとうございましたっ」

遥琉への怒りを抑えきれず、声色は苛つきを含みながら管理会社の人たちにお礼を言って、

逃げるようにエレベーターから外へとでる。

なにあれ!

なんなのあれ!

おさまれ、おさまれ。
私の心臓。

すごくイライラして、泣きそうだ。

遥琉に……キスされた。

ムカついているのに、心臓のドキドキはこれでもかというぐらい止まらなくて。

あり得ない。

あり得ないから。

あんなやつと……キスなんか。

世界で一番、大っ嫌い。