一瞬、時間が止まったようなそんな感覚に襲われる。
その話、私今日、ママとしたばっかりだ。
「すごく幸せな瞬間だったって、毎回いうんだよ。海風と話せなかった間も、俺は父さんにその話をしてもらうたびに、いつかどこかでまた繋がれるかもって、謎にそう希望が少しだけ持てて救われてたんだ。……俺のもう一つの大切な場所。海風にも知ってて欲しかったから」
遥琉は『花火もよく見えるしなー!』なんて言いながら夜景に目を向ける。
「フッ……」
「え、なに」
吹き出した私に遥琉がすぐに反応する。
「いや……フッ」
「俺、変なこと言った?クサすぎた?」
と詰め寄る遥琉がおかしくて、また笑ってしまう。
「おんなじなんだなぁと思って。私も今日、ママと私が生まれた日の話をしたの。感慨深いねって」
「まじか……母さんも今日話してた」
「本当に?!陽子さんも?みんな考えてること同じだね」
「ああっ、よっぽど大切な日なんだろう、あの人たちにとっても」
「うん。嬉しいね。……あっ、そうだ!」
そろそろ花火が始まる。
忘れないうちに。
そう思って、籠バックから包まれた四角い袋を取り出して遥琉に差し出す。



