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「きゃー!!遥琉くん!!浴衣姿素敵ね〜〜!!」
遥琉が迎えに来て玄関を開ければ、ママもズンズンとやってきて遥琉の浴衣姿にうっとりしだした。
「いえいえ、ありがとうございます」
ニタニタしてるママを見る限り、遥琉が浴衣着ることを陽子さんから聞いていたからさっきあんなことを言ったんだろうとわかる。
まったく、匂わせすぎか。
いやまあ、遥琉本当に浴衣に似合ってかっこいいからいいんだけどね!
いつもと髪の毛のセットの仕方が違くて、前髪をかきあげる感じにしている。
なにそのお色気ムンムンのやつ。
めちゃくちゃにかっこいいけど、これからいく花火大会の会場にいる女の子たちに見られると思うとちょっと嫌だな、なんて。
「さ、ふたりとも早くいってらっしゃい!あ、まって、写真とってもいい?そこ並んで!!」
「ちょっとママ……」
「いいじゃん。浴衣記念に一枚」
「もう……」
遥琉に言われて仕方なく並ぶ。
マンションのドアが背景なんてどうなんだろうと思うけど、
私たちらしいっちゃ、らしいのかも。
嬉しいけど、恥ずかしい。
遥琉と並んで写真なんて。
昔はよく撮ってもらっていたけれど。
「さ、撮るわよー!」
スマホを持ったママの
『ハイっチーズ!』
という声で少し口角を上げて。
「うん。とってもよく撮れてる!」
写真を撮ったママが目線をスマホ画面から私たちの方に向けた。
「ふたりとも17歳の誕生日、おめでとう!」



