下の方であみこみした髪の毛をクルッと巻いて、後毛を出して。
一気に雰囲気が出る。
「うわ〜〜ママ上手〜!!」
「へへんっ!花火大会か〜。あ、」
「ん?」
ママが何か思い出したように声を出した。
「なんだか、海風と遥琉くんがこうなるの、生まれた瞬間から決まってたみたいね」
「え、どういうこと?」
「ふたりが生まれた日。海風が生まれたあとすぐに遥琉くんが生まれたんだけどね、その日の夜、私と陽子ちゃんの病室からちょうど花火大会の打ち上がった花火が見えて。ママとパパと陽子ちゃんと遥琉くんのパパと4人で病室の窓から花火を見たのよ」
「え、そうだったんだっ!」
なんか、いいな、そういうの。
聞いただけで、胸がそわそわドキドキする。
「同じ花火大会の花火をふたりが生まれた日から17年後に一緒に見るだなんて、なんだか運命みたいね!」
ママがそんなふうに笑うから、顔がボッと熱を持つ。
運命って……恥ずかしい。
「海風、ありがとうね。色々話してくれて。母親らしいこともちょっとできて嬉しかった」
「私も楽しかったよ!ありがとうママ!」
「フフッ、さ!準備準備!遥琉くんの格好も楽しみね〜!」
ん?遥琉くんの格好も?
ママのセリフに少し違和感を感じていると、ママが私の肩に置いてこちらを見た。
「海風。誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう」
不意打ちでそんなことを言われて、私とママは同時に泣き笑った。



