「海風がね、公園で泣きながら寝ちゃったことがあったのよ」
「え、あ、うん……」
しっかり覚えている。
遥琉が言っていたあの日だ。
まさかその日の話をされるなんて。
「多分、ママとパパの離婚のことで海風ひとりで隠れて泣いたんだろうなって本当はすごく辛かったんだろうなって。すごく申し訳なくてママも泣いたんだけど」
「うん」
「あの日、公園に海風が寝てるって教えてくれたの、遥琉くんなのよ」
「え、遥琉が?」
てっきり、私の帰りが遅いままが心配して探したんだと思ってた。
「わざわざうちに来て顔を真っ赤にしてね。もうあの時の遥琉くんがほんと可愛すぎて、ママ、食べちゃうところだったわ」
「いや食べないでよ……」
クールにツッコミを入れたフリをしたけど、心臓バクバクだ。
遥琉……私にキスしたあと、ママのところに行ったんだ。



