みだらなキミと、密室で。


「ママもパパもお互いが初めての夫婦で、海風が生まれて初めて親になった。とっても未熟だったの。ママもあの頃精神的に不安定だったしね。海風の前でパパのこと悪く言ったこともあって海風にパパのことすごく嫌な印象を与えてしまったってずっと反省してた。ごめんね、なかなか言い出せなくて。だけど、パパのことは、海風の父親としてママの中でも大切な存在よ」

「うん……」

「奈央さんのこともふたりが付き合いだしたすぐにパパから聞いていたし」

「え、そうなの?」

「うん。それを聞いてママは素直に祝福できたから」

ママはそう言って鏡に映る私にニコッと笑いかける。

「ママはさ、」

「ん?」

「寂しくない?新しいパートナーが欲しいとか。もしそういうのあったら私に遠慮、しないでね」

夫婦揃って子供の行事に参加している人たちを見たり、仲睦まじい夫婦を見ながら一人で子供を連れたり。

きっとそういうのがものすごく辛く感じる瞬間だってあったと思うから。

ママには寂しい思いをもうできるだけしないで欲しいよ。