「優しすぎるのよね。その浮気相手の女の子だって最初は、どんくさいその子をサポートするためにあなたのお父さんがついててあげただけ。誘惑されたのよ。ま、どっちも悪いけど」
どんくさいって、誘惑って、奈央さんはっきりと言う人だな。
まるでママの代わりに言ってくれてるみたいで気持ちがいい。
「まぁ、それで、バカな人だなぁ頼りないなぁってみてたんだけど、家族を失ってからのこの人、すっごくしんどそうにしててね」
「あぁ、奈央がね、話を聞いてくれてたんだよ。それでたくさん叱られて」
「そうなんだ……」
「まぁ色々話したり一緒に来ていくうちに、いい面もみてえきて、ああこの人のこと支えてあげたいなって」
「奈央さんカッコいい……」
「いやもう、海風ちゃんに褒められるのはシンプルに照れるから!」
ハハッと嬉しそうに笑う奈央さんは本当に綺麗だ。
「この7年の間、あなたのお父さんは、あなたに会うって日をいっつも楽しみにしているの。最高のお父さんだと思うよ」
「奈央さん……」
奈央さんのセリフに、勝手に涙が溢れて止まらない。
横でパパも鼻をすすっているのが聞こえて。
目の前の奈央さんも、目に涙を浮かべながら、私にハンカチを差し出してくれる。



