うぅ……。
疲れた。
死んじゃう。

「ごめんね、海風ちゃんお疲れ様!」

バイト終了後、穏やかな店長の声がしたので振り返る。

「あぁ、いえいえ〜、店長もお疲れ様です〜」

今にも砕けそうな腰をなんとか手で支えながら店長に挨拶する。

40代半ばの店長は、包容力のある雰囲気の優しそうなクマみたいなおじさん。

私がいつもの10倍ぐらい疲れた理由は、もう1人のホールの子が熱を出して急遽休むことになってしまったから。

そのことに店長が申し訳なさそうにした。

そりゃ普段2人体制のホールが1人になるだけで全然違う。

いつもなら代わりの子が来てくれるんだけど、今日は誰も代わりに入ることができなくて。

でも店長のせいじゃないし。

にしても、足腰が痛すぎる。
自分が本当にJKなのか疑ってしまうよ。ははは。

「お詫びにご飯食べてかない?新商品の試食もして欲しくてさ」

「え、いいんですか?」

「うん。簡単なものだけど」

「嬉しいです!ありがとうございますっ!」

我ながら単純すぎる。

まかないが食べられるのは基本休憩の1回だけ。
夜も食べられるなんてラッキーすぎて足腰の痛みが嘘のように消えたよ。