呟く海風の瞳がチラッと俺を見て視線が絡まる。
その顔で目が合うのは、かなりやばい。
ゆっくりと距離を詰めれば、大好きな香りが俺の鼻をくすぐって。
そういう成分が入ってるんじゃ、と疑ってしまうぐらい、海風の匂いは俺をおかしくさせる。
瞬時にスイッチが入って。
海風に優しいキスをする。
「……んっ、」
なかなか慣れてくれない海風は、キスしながらの呼吸が整わないのかすぐに声を漏らす。
それがいっそう俺を掻き立てて。
お互いの熱を分け合うようなキスに、身体のあちこちがジンジンと痺れるような感覚。
少し前の俺たちなら考えられなかったこと。
でもずっと願っていたこと。
自然に絡ませた手に、海風がギュッと力を入れるたびに、
今、海風がちゃんと俺と触れ合ってくれているんだと実感して、
幸せな気持ちが込み上げる。
海風の息が苦しそうなのはわかっているのに止められない。
優しく大事にするって決めたのに。
ヤバイ……全然余裕ない。



