「なにその顔」
「だって……本来遥琉も一緒にいくはずだったんじゃ」
「は?」
「私のバイトが今日休みだったから、遥琉は合わせてくれたけど……でも、せっかく家族みんなで外でご飯食べる機会だったのに……」
ほんとそういうところ。
好きだなって思うよ。
自分の気持ちよりもいつだって人のことだから。
そこが海風のいいところでもある。
だけど……。
「あのさ、海風はなんとも思わないの?」
「へっ」
彼女の方に身体を向けてジッと見つめる。
「なんともって……?」
「今日、母さんも父さんも帰りが遅い。その間、俺とふたりきりってことなんだけど」
普通はそこ、一番気になるところじゃね。
なんだよ、せっかくの家族との食事って。
いつもいやと言うほど一緒に食ってるわ。



