「えっと……」
「ごめんね。中学の時にふたりが幼なじみだって聞いた。私に気を使って言ってくれなかったの?」
「……そっか。ううん、自分のために言わなかった」
「自分のため?」
完全に保身。
遥琉といると、女の子の友達ができないから。
後々トラブルの原因になるから。
遥琉と幼なじみだってバレたら、遥琉のことを好きな子たちは確実に私を意識して、何かと恨んでくるから。
でも……、今考えると、乃々歌ちゃんは私と遥琉が幼なじみだって知っていたにもかかわらず、
私と普通に接してくれていたってことだよね。
そこは素直にありがたいかも。
いや、遥琉が私を女として見ていないって知っていたから余裕があったのかも。
なんて、よくない気持ちが沸々と湧き上がる。
「昔から遥琉といると妬まれることが多かったから。学校では話しかけないでって、」
ここで大事なのは『学校では』ってお願いしていたこと。
みんながいないところでは、ずっと普通にしてて欲しかった。
でも今思えば、それも私のわがままで遥琉は面倒くさくなって愛想つかしたのかもしれないし。