「よし、ちょっと気分良くなった。ありがとう海風ちゃん。じゃ、行こっか。遥琉くん」
「……は?」
思わず素でそんな声が出てしまった。
無理もないと思う。
てっきり、今度は、俺と海風のペアなんだと思っていたから。
なんで俺の名前がやつの口から発せられるんだ。
「えっ、あの、伊月さん……」
海風の表情も動揺してるのが良くわかる。
「なんで?女の子ふたりは嫌?」
「嫌、ではないですけど……」
「いや、嫌でしょ!ていうかほぼ初対面の男二人で遊園地とかなにが楽しいわけ……」
松本も横から少し険しい表情をしてそう訴えるけど、早乙女伊月は、きょとんとした顔をする。
それがなんともわざとらしい。
「遥琉くんはいや?俺と遊ぶの」
「……いや、その、」
「ん。嫌じゃないってー!行こーー!あ、時間経ったらまたここで集合で!」
海風の膝から顔を上げてヒョイっとベンチから立ち上がったやつはそう言いながら俺の隣へとやってきた。
こいつ一体……なにが目的なんだよ……。



