*
「あ、いた!海──」
少し歩いて、ふたりを見つけたらしい松本が何故か声を止めた。
「……松本?」
立ち止まった松本の視線の先に俺も目を向ける。
「えっ……」
そこには、明らかにベンチに座っている海風と、そんな海風の膝に頭を預けている、早乙女伊月の姿。
なにあれ。
なんなんだよ。
「……遥琉くん、事情聞いてこよ」
「事情?見てわかるじゃん。そういうことなんじゃねーの」
「いや、でも聞いてみないことには。ほら、あの人チャラいしきっと女子にはみんなああなんだよ」
いやわかるよ、早乙女伊月が女にだらしないってことぐらい。
でも、あの海風が、男とあそこまで至近距離になってることが衝撃なんだよ。
海風のことだから、膝枕なんて絶対許さないはず。
俺の知ってる、海風なら────。



