「あぁ〜めんどくさいっ!男なんだからそんなナヨナヨしないでよね!」
「っ、!」
席を勢いよく立ち上がった松本が、俺の手首を掴んで歩き出す。
「ちょ、松本?!」
「その目でちゃんと確かめなよ。海風に誰がふさわしいのか。てかふさわしいとか意味わかんないけどね!好きだから幸せにする、好きだからそばにいて欲しい、それ以外になにがあるの!」
遊園地内をズンズンと歩きながらそう話す松本に黙ってついていくことしかできない。
きっとたくさん嫌な思いをさせたのに。
言い方は少しきついけど、それでもこうやって俺が先に進めるようにしてくれるんだから、
いいやつなんだと思う。
「私は、遥琉くんと付き合ったこともあんなこと言ったのも、後悔してないんだから」
少し立ち止まってこちらを振り返った松本が、俺の目をしっかりと捉えて。
彼女はふたたび歩き出した。



