「じゃあ、あと1時間後に告白、ね?」
「はっ、いや、それは……」
「この期に及んでまだしぶるの?」
「……、」
俺だって、あの日、海風にちゃんと話そうとした。
だけど……。
「早乙女さん?」
っ?!
俺の表情だけで見事に答えを当てた松本。
「海風に、気持ち伝えようって思ったんだよ。そしたら、あいつが現れて……」
「まぁ、早乙女さんだいぶ海風のこと気になってるぽいからねー」
「はぁ、だろうね……」
一度、バイト帰りの海風の隣をあの人が歩いているのをみたことがあった。
正直、あの時の印象が強すぎて覚えていただけで、それ以外のことは全然心当たりがなかったけど。
そりゃ、男の俺からみてもそれなりに顔が整っている人だからプライドも高いだろうし、
自分の気に入った女の子と俺が歩いているのを見かけたからって、わざわざその場で声をかけなかったんだろう。
その場で女の子になに言われるかわかんないし。
遊びだと割り切った関係でありながらいちいち口を挟むのだってカッコ悪い。
その気持ちはなんとなくわかるから。



