「海風ーーー!」

「ん……うるさ……」

懐かしい夢を見ていた。

耳に響く怪獣みたいなママの声。

朝からよくそんな大声が出るものだ。

私の部屋のドアごと吹き飛ぶんじゃないかと本気で心配しちゃうほどの声量。

「ん〜あと少し……」

布団をギュッと抱きしめて再び眠りにつこうと、うっすら開けた目を閉じる。

「ったくあの子ったら……」

ドンッドンッドンッ

お次は怪獣みたいなママの足音。
そんな歩き方、下の階の人に絶対響いてるよ。

この足音は危険な合図。

でも、いつものように、睡魔にはなかなか勝てっこない。

このままだと……。

ガチャ

「海風!!何時だと思ってるの!!遅刻よ!!昨日いつまで夜更かししてたの!!まったくも〜〜!!」

バサッ

「ひっ……!」

勢いよく私の身体からはだけた掛け布団は、きっとママの手の中。

でもまだ目を開けられない。

何よりも朝が苦手なのだ。