「いや、一方的に見たことあったから、つい。まさかあっちが俺のこと知ってるとは……」

一方的に見たこと……ある?

え、なんだその言い方。

「えっと、遥琉と女の子がいるところに伊月さんが出くわして喧嘩したんじゃ……」

なかなか話が繋がらなくて頭がこんがらがる。

「喧嘩?いやそんなのしてないよ。女の子といるときに誰かに声かけられた覚えもないし。ていうかもし俺と女の子が遊んでるところを見たとしても女の子の見てる前で『なにしてんだ』とか声かけなくない?見ても知らんぷりするって」

「え、そういうもの?」

「だってあの人も遊びだったわけでしょ。本命だったらそれこそ面と向かってキレられるかもしれないけど。てか普通に逆ナンされたから遊んでただけでそれで因縁つけられてもねー」

「はあ……」

逆ナン……。
やっぱりモテるんだな、遥琉。

ってそういうことじゃなくて。

じゃあ、本当に遥琉と伊月さんは今日が初めて話したってことなのか。

それにしても遥琉が伊月さんのことを「一方的に知っていた」っていうのが気になるけど。