「それで遥琉、話って」
再びそう聞けば、『すげぇ急かすじゃん』と言って笑ってから遥琉がさらに話した。
「……スマホ代、もういいよ」
「えっ?」
「言ってた12万、別にもういいから、弁償しなくていいって言ってる」
「……え?なんで?」
意味わかんない。
散々それを理由に脅してわけわかんないことで私をコキ使っておいて?
ますます遥琉がわかんないよ。
『7年止まっていた2人の時間がまた動き出したこと、私は、きっと何かあるんじゃないかって思いたいよ』
『契約解消されて、有馬くんも自分の気持ちに気づいて焦ってるんじゃないのー?』
依茉ちゃんの言葉が脳内に過ぎる。
まさか、本当に、依茉ちゃんの予想があっていたら?
私とまた話すためのきっかけとして、そういうことを言ってきたんだとしたら?
心臓のドキドキが加速して、手に汗がにじむ。
「なんでって……それは……」
「海風ちゃん?」
「……へっ、」
遥琉の答えを聞けると思った直後。
聞き覚えのある声に名前を呼ばれた気がして顔を上げた。



