「契約解消されて、有馬くんも自分の気持ちに気づいて焦ってるんじゃないのー?」
「うぅ……でも、」
「でも?」
遥琉は昨日、私にキスしなかった。
いや、厳密には1回目はされたけど2回目未遂で終わらされた。
私にはあれが引っかかってしょうがないんだ。
好きならしてくれればよかったはずだ。
私、目つぶっちゃったし。
普通、好きな子に恥かかせるかね。
そもそも、ずっと遊びだったから、あの時、改めてキスするとなって出来なかったんじゃないかって。
やっぱり私のことを女として見ていないから。
中学の頃、遥琉のあのセリフが私をずっと呪ってる。
依茉ちゃんは『人の気持ちは変わる』って言ってくれたけど、あの日を境に私と遥琉の関係は止まったままだったし。
止まった関係に気持ちの変化なんてあるんだろうかって。
いろんな疑問ばかりだけど、今はただ、放課後、あまり感情的にならないように遥琉と話せるようにって言うことだけに集中しよう。



