「はぁ?だって食欲なさそう……」

「ある!あるから!勝手なこと言わないで!あと勝手なことしないで!」

「はあ?」

せっかくのいいご飯なんだ、値段だってそりゃ、そこら辺のハンバーガーとは違うわけで。

それを遥琉に横取りされるなんてもってのほか!

急にああいうことされたらそりゃ誰だって固まるに決まってる。

「……一口だけだよ」

それでも、ローストビーフももちろん食べてみたいという欲に負けてしまって、渋々、遥琉にハンバーガーを手渡す。

「そっちこそ一口でかいんだから気を付けろよ」

遥琉はまた一言余計なことを言いながら、私のハンバーガーを一口かじった。

何よ……。

ご飯のシェアごときで、いちいちドギマギしてる自分がバカみたいだ。

遥琉にとってはあの頃の延長みたいなもんで。

なんの意味も持たないことぐらいわかっているのに。