「普段女の子たちにチヤホヤされてる遥琉も、大したことないね」
高校生になって遠くから見る遥琉はなんでもそつなくこなすイケメンって感じだったけど、今日の海での遥琉を見る限り、小学生のあの時とそんなに変わっていないんじゃないかって思えた。
「勝手に大したことある人認定してる方がおかしいから」
「……大したことあるでしょ、勉強も運動もできるってわーきゃー騒がれてんじゃん」
「ふーん。海風は?」
「へ?」
ずっと水平線を見つめていた遥琉の顔が、まっすぐとこちらを見ながら聞いてくるので、とっさのことで変な声が出てしまう。
「海風は?俺のこと騒いでないの?」
「……なに自惚れてんの。当たり前でしょ。騒ぐわけない」
「はいはい、ちょっと聞いただけだろ。すぐキレモードに入るなよ〜」
「ふん……」
本当は図星だったから。
遥琉のどんな些細な噂でもこの耳がすぐにキャッチするようになってしまっているから自分でもどうしようもないんだよ。
だけど、私ばっかり気にしてるみたいなのは悔しいから。
絶対にそんな隙見せない。



