「っ……み〜ち〜る〜!!」
ただの水ならまだしも海水だから目に染みて痛い。
ゴシゴシと目を擦りながら、遥琉に仕返ししようと追いかける。
「ふはっ、いや、悪かったって!あんな綺麗に命中するとは思わなかったんだよ!」
「うるさいっ!」
バシャッン
今度は私から、遥琉にしょっぱい水を盛大にかけてやる。
「……っ、ちょ、まじでっ!」
遥琉の手がストップのポーズをしているけどおかまいなしにどんどんかける。
「あんたから先に仕掛けてきたんでしょーが!このっ!」
「だからごめんって!」
どれぐらいそうしていたかわからないけど、気が付いたら私たちは水の掛け合いっこにヘトヘトに疲れて、砂浜へとふたりで倒れ込んだ。
「ふっ、」
空を仰ぎながら不意に吹き出してしまう。
「なに笑ってんの」
「いやぁ、さっきの遥琉めちゃくちゃマヌケだったなって」
「なに生意気な口聞いてんの」
「だって、ふっ」
さっき、私に何度も水をかけられた遥琉がその勢いに負けて水の中で尻もちをついたのを思い出してまた笑けてしまう。



