「うわっ!まじありえない。濡れたんだけど。やりすぎ海風」
「はぁー?!どっちが!」
自分のこと棚に上げてなんてこと言ってんだよ!
でも、私以上に上下びしょびしょになった遥琉がおかしくて、ちょっと口角が上がる。
私を舐めるからこんな目に合うんだよ。
ざまぁ。
「許さない」
「は?」
「必殺 水しぶきボンバー!」
そう叫び出した遥琉は、私の周りを囲うようにバシャッバシャッと水が跳ねるように歩き出した。
そのせいで盛大にこちらに水沫がかかる。
最悪だ。
「っ、アホなネーミングセンスでアホみたいなことやめてよね!バカ遥琉!」
「あーそんなこと言っていいのかな、こっちには最終秘密兵器があるのに」
「っ、」
顔にかかった海水を腕で拭うと何やら水の中に両手を入れた遥琉が目の前にいた。
「な、」
嫌な予感。
「必殺 水鉄砲」
なんのひねりもない必殺技を遥琉が叫んだかと思うと、ピシュッと線になった海水が弧を描いて私の顔に直撃した。



