「あの時、来年も来ようって言ったのに。守れなかったから」
「……別に。うちに気を遣ってくれてたんでしょ。離婚のことあったし。遥琉は関係ないよ」
「……」
黙り込んだ遥琉の背中が少しだけ小さくなった気がする。
そんなわけないけど。
自分に言い聞かせるかのように。
『遥琉は関係ない』
今の遥琉の言葉を間に受けたってどうせまた、フラッと私のそばから消えちゃうくせに。
飽きたらどうせ、あの時みたい。
今だってそう。
女の子を取っ替え引っ替えして、飽きたらポイ。
でも、あの時の子供同士の些細な会話、よく覚えていたよね。感心しちゃう。
なんて思いながら、内心、遥琉が当時のことを覚えていることが正直嬉しくて。
せっかく忘れかけていたのに、ぐちゃぐちゃに色んな気持ちが交差する自分の感情に自分で疲れてしまう。



