たしかに、昔は
『遥琉っ!下向いて歩いちゃダメだよ!』
そう言って遥琉の顔を覗き込んで、彼の顔をグッと両手で持ち上げたのは私だったかもしれない。
だけど……。
『学校行きたくないよ。うみちゃんとクラス離れちゃったもん……』
『大丈夫!クラス離れても私はずーーっと遥琉と一緒だよ』
『ありがと。……俺もずっとうみちゃんといる』
そう通じ合っていたはずの私たちの関係を先に壊したのは遥琉じゃない。
それからどんどんどんどん知らない遥琉になっていって。
それなのに今更、昔話ばっかり。
「用事、終わったらすぐ帰るよ」
「はいはい」
不機嫌な声で窓を見つめた私に、遥琉がそう返事をした。
一体何を考えているのか、全然わかんない。



