「翔ちゃん、ごめんね。
 これ、マフラーじゃなかった」

紗良はそう言うと、俺から外したマフラーを自分の首に巻いて、前で蝶結びにした。

「これ、何か分かる?」

「え? マフラーだろ?」

俺が首を傾げながら答えると、

「ブー! 残念。
 これは、ラッピング用のリボンでした」

と楽しげに笑う。

「え?」

どういうこと?

「大切なのは、ラッピングじゃなくて、
 その中身でしょ?」

中身って……

俺は、この笑顔が世界一かわいい彼女を人目もはばからず、ぎゅっと抱きしめた。



 そうして、この年のクリスマス。

俺は、ラッピングの中身を嫁に貰った。

どんなサンタクロースにも用意できない、世界一素敵なプレゼントだと思わないか?


─── Fin. ───



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