「鷹、…ごめん…!
俺最低だ…!」
「近…」
近が同じ職場の奴に襲われた。
不可抗力。
そう言わざるを得ない程体格差があった。
でもその時から近は俺を見なくなった。


『メリークリスマス!』
近と付き合ってから二回目のクリスマスが来ていた。
そして幸せはすぐに終わりを迎えそうだ。
昔から顔を見れば相手の感情は手に取るようにわかった。
今でもそうだ。
仲のいい奴らを集めて飲んでいるが、
近は一人を見ている。
近を襲った張本人、嵐太(あらた)。
あれから何回も嵐太にアタックされ続け、
近は最近嵐太を気になり始めている。
俺も近に戻って来て欲しくて何回も愛を囁き捧げた。
でももう潮時だろう。
あぁ、俺はいつからこんなにも好きになってしまったんだろう。
俺は近を愛してる。
だから近を嵐太に託す。
今近を笑顔に、幸せに出来るのは俺じゃない。


「なぁ近。俺の事好きか?」
「うん。好きだよ。」
「…それは、人としてだろう?」
「っ…
…うん。」
「…別れよう。」
「ごめん鷹…俺本当に…」
「もう謝るな。
…俺は近が好きだ。
だから最後くらい笑顔で。」
「鷹…、ありがとう…!」
「あぁ。こちらこそありがとう。
…絶対幸せになれよ。」
「うん。ありがとう。」


ピリリリリピリリリリ…
「…はい。」
「…嵐太だ。」
「…何の用?」
「幸せにする。絶対に。」
「あぁ。それは別にどっちでもいい。
近が傷つくようなことがあったら俺の元に戻す。」
「…」
「でも本当に泣かすことがあったら…
俺がお前を殴りに行く。
覚悟しておけ。」
「…ありがとう。」