そんな事を言いながら滴はICUに運び込まれた。
「あの、滴の妹さんは...」
と真幸が言った。
「あ、涙ちゃん呼ばなくていいのか?刹那。」
智也が刹那を見て聞く。
「ああ、行ってくるよ。あ、親父隣使っていいよ
ね?」
そう言って隣のベッドを指差す刹那。
甫さんはああっと頷いた。
「んじゃ、俺用意しとくわ。兄貴は早く涙んとこ
行ってこいよ。帰ってきてからまだ見に行って
ないんだろ?」
「ああ、行ってくるよ。」
そう言って刹那は部屋を出ていった。
和泉は隣のベッドの酸素吸入器やモニターの用意
をせっせとしながら口を開いた。
「裕香ちゃん、兄貴が大分きつく言ってたから
謝っとくわ。」
そう言った和泉に裕香は首を横に振った。
「あ、いえ、私が悪かったんです。勝手に家を
出たから。」
「ああ、そうだけどさ。まあ、どっちにしろ鸞鬼
は潰す予定だったんだろ?それに裕香ちゃんを庇
ったのは滴の判断だから。」
「はい。」
「ただな涙が、あ、涙って滴の妹の事なんだけど
涙が悲しむから兄貴があんな怒ったんだよ。」
「え?」
「涙はさ、兄貴の大事な大事な婚約者なんだ。」
「え...。」
幹部たちが驚愕というふうに固まった。

