「そ、そうですよね!……すみません。今年、教師になったばかりで、こういうの初めてなんです。不甲斐ない限りですが、どうぞお手柔らかにお願いします……!」
「……へぇ。お気楽だな」
「え?」
「”初めてなので”、”不甲斐ない”、”お手柔らかに”。そんな言葉で片付けられる仕事をしてる人は、お気楽で何よりだって言ったんだよ」
「……あの、えっと」
言われた言葉を、頭の中で何回も繰り返す。
そして、やっと言葉の意味を理解した私は……
「要件はそれだけか?なら、もう切」
「……はぁ??
ってか、さっきから黙って聞いてりゃ何様ですか!?確かに命の危険と隣り合わせで仕事してらっしゃるあなた達とは違って、お気楽だと言われたら仕方ないのかもしれませんけど!教師には教師なりの苦悩があるんですっ!」
「っ、」
勢い任せに捲し立てた挙句、
───ブツッ
”失礼します”も言わず、電話を切った。
「……超嫌なやつ!信じられない。会ったこともない相手に電話であんなこと言えるなんて神経疑う!」
電話を切ってからも、私の怒りは冷めることを知らず。思い出すだけでムカムカと嫌な感情が込み上げてくる。


