「多分、母さん。……お前のことすげぇ可愛がってたんだと思うよ」
「……え?」
「手紙の返事、書いたのに出せないまま死んだこと、きっと心残りだったと思う。……今度、受け取ってくれるか?14年越しになって悪いんだけどさ」
……最後に送った手紙に、返事はなかった。
きっと忙しくて忘れられてしまったんだとばかり思っていたけど……さとこ先生、ちゃんとお返事書いてくれてたんだ。
とめどなく溢れてくる涙で、上手く言葉は紡げない。
言いたいことなら沢山あるのに、そのどれもが、もうさとこ先生には届かないなんて。
「……さとこ先生っ、……会いたいっ、」
会って、先生に憧れて小学校の先生になったよって、いつの日か報告したかった。
だけど、それはもうどんなに願っても叶わない夢になってしまった。
「無力だった俺を恨め。俺が殺したも同然だ」
「……違うっ、それは違います!!菅野さんが自分を責めることなんて1つもないです!」
菅野さんの中に消えないオレンジがあるんだとしても、菅野さんが自分自身のために今の仕事をしてるんだとしても!
……ここに、確かに菅野さんに助けられた命がある。菅野さんが守ってくれた未来がある。
だから、もう自分を責めるのはやめて。


