殺してやりたいくらい憎いヤツがいた。幼き日より、芽生えた殺意は本物。どの様に殺すか考えて、完全犯罪を思いついた。最初で最後の1回きりの方法は野球の試合でベンチインして客面したアイツに向かってデッドボールを投げる。骨折くらいはするだろう?上手くいけば、命を落とす筈。だから、がむしゃらに野球の練習をした。ピッチャーのポジションだけを狙っていた。幼稚園児の頃から練習していたのもあって、俺は何とか試合に出れるピッチャーに育った。あとは、アイツをベンチインさせるだけ。残された機会はたった1回。だから1番打者は討ち取る予定だったのだが、ホームランを打たれてしまった。そのボールは壊れたフェンスに向かって1直線にぶつかり、フェンス越しの客が救急搬送された。最後にバッターがニヤリと笑っていた。