「お母さん、楓音ちゃんと離れるの寂しいの!だから、お願いっ」



必死に説得するお母さんをみていたら、私の心が折れる音が聞こえた。



「…わかった!じゃあ、私も一緒に旅行へ行くよっ」


「ほんと!?ありがとう、楓音ちゃんっ」


「これで家族三人で旅行へ行けるね!」



……まぁ、ちょっとくらい休んでも平気だよね。

新婚旅行ってことなら多分一週間くらいだよね?



それくらいなら別に休んでもいっか!



「急いで準備してくるから待ってて!」



早々に気持ちを旅行へと切り替え、意気揚々と準備に取り掛かった。



そしてシンジさんの運転で空港へ向かい、急いで飛行機へと乗り込む。



「そういえば、どこへ旅行に行くの?」



シートベルトを固定しながら、隣に座るウキウキ気分のお母さんへ顔を向ける。



「世界一周旅行よ」


「へ?」


「あ~楽しみね~!お母さん、世界一周するのが長年の夢だったの~!」



……世界、一周…?



青ざめた私を乗せたまま、飛行機は日本を飛び立ってしまったのだった。