なんだよその、
 『お兄ちゃんも!?』って嫌そうな態度は。


 普通にへこむんだからな。 
 この俺だって。


 そんな凹んだ自分がばれないように、
 強気の態度に出た。


「別に嫌ならいいけど」


「一応……
 みんなに聞いてみても……いいかな?
 お兄ちゃんも一緒でいいか」


「ああ」


 俺はそのまま、
 自分の部屋に逃げ込んだ。


「六花の奴、
 七星のことが好きでしょうがないじゃん」


 あいつの表情を見れば、
 気づきたくなくてもわかってしまう。


 兄妹として、
 六花が2歳の時から一緒に過ごしてきた。


 でも、それだけではない。


 六花が七星を思う表情は、
 俺が六花を思う表情と重なる。


 それだけ六花は、
 七星のことが好きでしょうがないって
 ことだよな。


 俺の心のダメージは、
 思っている以上に大きい。


 ボクサーのパンチが、
 俺の心臓を突き破って丸い穴をあけたくらい、
 大きな穴が心にあいた。


 ぽっかり空いた心の穴を
 どうにか塞ぎたくて、
 俺はヘッドホンを耳に当て、
 大音量で陽気なロックを耳に流し込んだ。