「は? 男なんて、この家につれてくんな」


「でも……七星くんも……
 来ることになっちゃったから」


 来ることになっちゃったなんて言って、
 六花は七星が来るのが嬉しいんだろ?


 あいつに来てほしくて、
 しょうがないんだろ?


 俺に強気で言い返すわけではなく、
 俺の顔色を伺いながら話す六花の態度が、
 余計に俺をイラつかせる。


「ダメ! ダメ! 
 俺は絶対に、許さないからな」


 俺がイエスと言わない限り、
 七星をこの家に呼ぶことを諦めるだろう。


 俺が、そんな安易な考えをしていた時


「いいもん! 
 それなら、七星くんの家で、
 私のお誕生会をしてもらうもん!」


「……は?」



 全く予想をしていなかった言葉に、
 バカみたいに口を開けたまま、
 俺の体が固まってしまった。


 七星の家で…… 

 六花の誕生日パーティー?



 俺の頭から、
 透明な雲がもくもく広がり出し、
 俺の意思に反して、
 勝手に妄想が流れ始めた。


 『りっちゃん、お誕生日おめでとう』


 『七星くん、ありがとう』


 『二人だけで、俺の部屋に行っちゃおうか』


 お互い見つめ合って、
 手を繋ぎながら
 七星の部屋に消えていく二人が……


 七星の家に六花があがるなんて、
 そっちの方がヤバすぎる!


 絶対に阻止! 阻止!


 俺はもう一度、冷静になって考えてみた。


 まだ……
 我が家で六花の誕生日パーティーをした方が
 安心だよな?


 七星の家に行くより、全然いい。


 俺は悪魔モードの低めの声で、
 六花に言った。


「男の家に行くなんて、
 ダメに決まってんだろ!

 ま……この家でなら……いいけど……」


「え? 呼んでもいいの? 七星くん」


 ビー玉のように
 目をキラキラさせて喜んでいる六花。


「いいけど、一つ条件がある」


「条件?」


「そのたこ焼きパーティー、
 俺も参加するからな」


「え? えぇぇぇぇぇ!!!!」