「男の子をこの家に呼んじゃ……
 ダメだよね?」


 は?


 男を、この家に呼ぶ?


 まさかそんな言葉が、
 六花の口から出るなんて思わなくて、
 聞き間違えかとさえ思ってしまった。


 でも目の前の六花は、
 顔を赤らめながら、
 一生懸命、言葉を紡いでいる。


「桃ちゃんがね、
 私の家でたこ焼きパーティーをしようって
 言ってくれたの。

 私のお誕生日会も兼ねて。

 そこにね……
 七星くんも……来ることになって……」



 ああ~ 
 そう言うことか……


 オムライスを、
 俺のために一生懸命作ったなんて
 言っていたけど、
 このためだったのか。


 七星がこの家に来ることを、
 俺に許可してもらうため……



 『今日は……
  お兄ちゃんに喜んでもらおうと思って……
  一生懸命作ったんだけどな……』


 六花のその言葉に、
 ごんぞうを抱きしめて、
 ベッドの上で飛び跳ねたいほど喜んだのに……


 ただの機嫌取りなだけだったとは……



 七星のことでも考えているのか、
 目の前の六花の顔が、
 コスモスみたいな桃色に変わっていて、
 俺は余計に、怒りが抑えられなくなった。