☆一颯side☆
は~
ムリムリ!
六花に見つめられて、
トロットした目で微笑まれたら、
俺の理性が保ってられないっつうの!
俺は自分の部屋に逃げ込んで、
ベッドの上のごんぞうを
ギューっと抱きしめた。
まだ、
六花の雪の結晶のように透き通った瞳が、
俺のまぶたの裏に焼き付いたまま。
俺の心臓は、
制御不能のオモチャみたいに、
猛スピードで跳ねている。
それもこれも、
六花の口からこぼれた、あの言葉のせい。
『今日は……お兄ちゃんに
喜んでもらおうと思って……
一生懸命作ったんだけどな……』
『俺のために』なんて言葉が、
まさか六花の口から出ると思わなくて、
俺はいつもの悪魔モードに
切り替えられなかった。
そのせいで、
俺の素が出ちゃったじゃん!
『六花、毎日ご飯、ありがとな』なんて、
俺が素直に思っていることを、
口走っちゃったじゃん!
そのうえ六花が、
俺の目をまっすぐ見つめて微笑んだから、
今すぐ抱きしめたくなっちゃったじゃん!
俺のために、
あんなおいしい料理を作ってくれたの。
結局、六花を拒絶する態度を
とってしまった自分が嫌になる。
俺だって……
六花をイジメたいわけじゃないのに……
俺の隣で、本当は笑っていて欲しいのに……
俺はこの先、どうしたらいいんだろう……
その時、
十環が言った言葉が頭をよぎった。
『ねえ、一颯……
お前さ、大学受かったら……
この家から出てった方が良いかもな』
今になって、あの時の十環が
どんな気持ちで俺に言ったのか、
わかったような気がする。
十環が言いたかったこと。
それは……
『六花の幸せを、一番に考えてあげれば』
ってことだよな。
俺がこの家を出れば……
六花を苦しめなくてすむ。
俺がこの家を出れば……
六花はもっと笑ってくれる。
そしてきっと、
七星と幸せになるに違いない。
俺が六花のそばに
い続けることができないなら、
七星に六花を渡すのがいいってことくらい、
俺が一番よくわかっている。
それなのに……
六花のことが好きすぎて、
手放す覚悟ができない。
俺はどうしたらいい?
好きな人の幸せを一番に考えられない、
幼稚な俺は……
は~
ムリムリ!
六花に見つめられて、
トロットした目で微笑まれたら、
俺の理性が保ってられないっつうの!
俺は自分の部屋に逃げ込んで、
ベッドの上のごんぞうを
ギューっと抱きしめた。
まだ、
六花の雪の結晶のように透き通った瞳が、
俺のまぶたの裏に焼き付いたまま。
俺の心臓は、
制御不能のオモチャみたいに、
猛スピードで跳ねている。
それもこれも、
六花の口からこぼれた、あの言葉のせい。
『今日は……お兄ちゃんに
喜んでもらおうと思って……
一生懸命作ったんだけどな……』
『俺のために』なんて言葉が、
まさか六花の口から出ると思わなくて、
俺はいつもの悪魔モードに
切り替えられなかった。
そのせいで、
俺の素が出ちゃったじゃん!
『六花、毎日ご飯、ありがとな』なんて、
俺が素直に思っていることを、
口走っちゃったじゃん!
そのうえ六花が、
俺の目をまっすぐ見つめて微笑んだから、
今すぐ抱きしめたくなっちゃったじゃん!
俺のために、
あんなおいしい料理を作ってくれたの。
結局、六花を拒絶する態度を
とってしまった自分が嫌になる。
俺だって……
六花をイジメたいわけじゃないのに……
俺の隣で、本当は笑っていて欲しいのに……
俺はこの先、どうしたらいいんだろう……
その時、
十環が言った言葉が頭をよぎった。
『ねえ、一颯……
お前さ、大学受かったら……
この家から出てった方が良いかもな』
今になって、あの時の十環が
どんな気持ちで俺に言ったのか、
わかったような気がする。
十環が言いたかったこと。
それは……
『六花の幸せを、一番に考えてあげれば』
ってことだよな。
俺がこの家を出れば……
六花を苦しめなくてすむ。
俺がこの家を出れば……
六花はもっと笑ってくれる。
そしてきっと、
七星と幸せになるに違いない。
俺が六花のそばに
い続けることができないなら、
七星に六花を渡すのがいいってことくらい、
俺が一番よくわかっている。
それなのに……
六花のことが好きすぎて、
手放す覚悟ができない。
俺はどうしたらいい?
好きな人の幸せを一番に考えられない、
幼稚な俺は……



