白雪姫に極甘な毒リンゴを


「六花、そのたこ焼きを食ったら帰るぞ」


 二人の間に流れる
 重い空気を振り払うように、
 お兄ちゃんがたこ焼きを
 1口でパクっと食べた。


「相変わらずうまいな。このたこ焼き。
 ほら、六花も食べろよ」


 お兄ちゃんは爪楊枝にたこ焼きを刺すと、
 私の前にひょこっと出した。


 私がぱくりと頬張ると、
 いきなりアハハと笑い出したお兄ちゃん。


「懐かしいな。

 六花ってさ、たこ焼き食べる時、
 リスみたいだよな。

 ほっぺたを膨らまして、
 モゴモゴ食べててさ」


 ひゃ? 

 リ……リス?


 そんな可愛くないよ……私は……


 ちょっと恥ずかしくなって、
 うつむいた私に、
 お兄ちゃんは目じりを下げながら言った。


「お前がたこ焼きを頬張る姿を見るの、
 子供の頃から好きだったよ」


 ひゃ! ひゃ!


 そ……そんなこと
 面と向かって言わないでよ……


 恥ずかしすぎて、
 今までに経験したことがないくらい、
 心臓が猛スピードで
 バクバクいってるんだから……


 穏やかに微笑んだお兄ちゃんの瞳が、
 私のヒーローだった頃の
 お兄ちゃんの瞳と重なって、
 私の心臓は、飛び跳ねるように動き出した。