白雪姫に極甘な毒リンゴを



「七星な、お前のことすっげー心配してた。

 母さんの命日に学校を休むことが
 今までなかったって、俺のところに来たんだ。

 その時の七星の顔を見たらさ、
 思い知らされたよ。

 お前のことを幸せにできるのは、
 七星なんだろうなって。

 ま、俺も母さんたちと約束しちゃったからな。

 六花のことは、兄として守っていくって。」


「お兄ちゃん……」


「俺さ、明日から高校の寮に
 入れることになった。

 お前のことを『妹』って
 思えるようになるまで、
 家には帰らないつもりだからさ。

 俺のことは気にせず、
 六花は誰と一緒にいたいか
 きちんと考えてみろよ。

 紫音も良い奴だと思うけど、
 七星のことも、もう一度考え直してやれば」


 なんでそんな優しい瞳で、
 私に微笑んでくれるの?


 辛い気持ちを必死に隠しているような、
 その微笑みを見ちゃったら
 私まで悲しくなっちゃうよ。


 だって、
 お兄ちゃんにそんな顔をさせているのは、
 私のせいなんだから。