「本当は嬉しかったんだ。
六花がたこ焼きを、朝から作ってくれて。
素直に弁当も、
もらっていくつもりだった。
でも……」
お兄ちゃんは、瞬きをぱちぱちすると、
恥ずかしそうにもじもじしながら言った。
「嫌だった。
六花が……
七星の写真を見て……
照れたように微笑んだのが」
え?
お兄ちゃんに見られていたんだ。
小学校の時の運動会の写真に、
たまたま笑っている七星くんが
映り込んでいた。
その写真を見ていたところを。
「でも、
俺がたこ焼きを意地でも食べなかったせいで、
七星がパクッて食べただろ?
それからどんどん、
七星と六花の仲が近づいていって……
正直、すっげー後悔した。
六花の作ってくれたたこ焼き弁当、
素直に食べておけば良かったって……」
「お兄ちゃん……」
瞳を悲しげに光らせるお兄ちゃんを見て、
心がぎゅーっと締め付けられた。



