「七星くんに言われた……」


「何を?」


「……好きだって」


 え?


 俺の体は、一瞬にして凍り付いた。


 それは…… 

 想定外かも……


 あのホワワンとしていて、
 六花に告白する勇気なんて
 なさそうな七星が?


 っていうか、泣く理由なくないか?


 六花だって、小学生の頃から
 片思いしていた相手だぞ。


 普通だったら、
 『七星くんと付き合うことになったよ』って
 ルンルン気分で
 報告してくるんじゃないのか?


 もしかして、
 悲しんでいたんじゃなくて、
 嬉しすぎて泣き続けていたってこと?


 ついにこの日が来ちゃったか……


 お互いが両思いだって気づいて、
 七星とくっついてしまう日が。


 いきなり襲われた胸の痛みに
 耐えきれなくて、
 俺が自分の部屋に帰ろうとしたとき、
 震える声が俺の耳に届いた。


「断ったの……」


 耳を疑うことしかできなかった。


 断った?


 ずっと好きだった七星に告白されたのに、
 付き合わないってことか?


 六花の気持ちが、全くわからない。


 七星を断った理由も。


 泣いている理由も。