「桃ちゃん、そんなに私のことが嫌い?」


「は? 六花、何を言って……」


「嘘ついたよね?

 昨日はおうちの手伝いじゃなくて、
 クルミちゃんと買い物に行ったんだよね」


 桃ちゃんの攻撃的な瞳が陰りだした。


 ひるんだ隙を突き、
 今度は私が攻撃をする。


「私には来てほしくなかっったんでしょ?」


「そんなことは……」


「それに聞いたよ。 桃ちゃんの中学」


 私の言葉に反応をして、
 桃ちゃんがこれでもかというくらい
 目を見開いた。


「私には、中学や家のことは聞かないでって
 言っていたくせに、
 クルミちゃんには話しているじゃん。 

 どこの中学に行っていたかも、
 兄弟がいることも」


「別に、
 自分からクルミに話したわけじゃ……」


「もう、
 私なんかが隣にいなくても平気だよね?

 桃ちゃんには、
 クルミちゃんがいれば十分だもんね」


 何を言っているんだろ……

 私……


 そんなことが言いたいんじゃない……


 ただ、桃ちゃんに隣にいてほしい。


 前みたいに、
 桃ちゃんと二人だけの世界にいたいだけ。


 それなのに、
 抑え込めないくらい大きくなった感情が、
 桃ちゃんを傷つける言葉だけを選んで
 飛び出てきてしまう。


 私は涙でぐちゃぐちゃになった顔なんて
 気にならないくらい、
 取り乱してしまった。


 そのとき、
 私の心が握りつぶされる言葉を、
 桃ちゃんが発した。