「それにね、六花ちゃんが教えてくれたの。
私のことを好きだって。一颯先輩が」
ん?
今なんて?
六花に教えてもらったって?
俺が、クルミちゃんを好きだって!!
なんじゃ、そのハッタリは!!!!
俺、六花にそんなこと、
一言も言ってないぞ。
だって、
クルミちゃんをかわいいと思ったことは
1度もないし。
俺が好きなのは……
六花だけだし……
「一颯先輩、私と付き合ってくれますよね?」
クルミちゃんが、
ウルウルした瞳で俺を見つめてきた。
は~
これがクルミちゃんじゃなくて六花だったら
最高に幸せなのに。
六花に告白されたら、
登る人の気持ちなんて一生わからないと
思い続けてきた富士山も、
今すぐにでも駆け上がって、
『六花が好きだ~』って、
山頂で叫んでやるのに。
どうする俺?
今にも泣きだしそうなウサギさんが、
俺の目をじーっと見つめる中、
この危機を回避する言葉を探し続けた。
それで、思いついたのがこれだ。



