白雪姫に極甘な毒リンゴを


 桃ちゃんに
 『六花の北海道行きを阻止する協力をして』
 と、お願いされた日から1週間すぎた。


 なぜか俺の周りが、
 おかしなことになっている。


「一颯先輩! 一緒に帰りましょ」


 語尾にハートマークをつけ、
 俺の行くところ行くところに出没する、
 ツインテールの女の子。


 そう、六花のクラスメイトのクルミちゃんが、
 七星と別れて
 俺にまとわりつくようになった。


「なんで俺なんだよ。
 七星と付き合ってたんじゃなかったのかよ?」


「だって……
 桃ちゃんが教えてくれたです。

 一颯先輩の方が、私とお似合いだって。

 七星って、
 キュンキュンするようなことは
 一切言ってくれないの。

 でも一颯先輩なら、
 いつもはツンツンしているけど、
 二人でいるときは甘い言葉を言って、
 甘えてきてくれるよって」


 オイオイ! 

 桃ちゃん!


 勝手に俺の人物像を作り変えるなよ。


 どうしてこんな嘘をつくわけ?


 これも、
 六花を北海道に行かせないためなのか?


 その時、十環が言っこたとを思い出した。


『一颯、気を付けて。

  桃ちゃんみたいな子ってさ、
 やると決めたら徹底的にやるからね』


 気を付けるって、こういうことか……


 七星と六花をくっつけるために、
 一番の邪魔者のクルミちゃんを
 七星から遠ざけたわけだ。


 でも、おかしくないか?


 その程度言われたくらいで、
 こんな簡単にクルミちゃんが
 七星を捨てるか?


 俺の謎を解明する答えを、
 桃ちゃんが口にした。