「腹減ったよな。
まずは、食べるもの買いに行くか」
お兄ちゃんの言葉に、
歩き出した私たち。
十環先輩とお兄ちゃんの隣に
並びたくなくて、数歩後ろをついていく。
そして私の後ろに、
お兄ちゃんと十環先輩狙いの女子たちが、
ぞろぞろと着いてきた。
『あの子、
一颯さんや十環さんのなんなんだろうね?』
『彼女じゃなさそうじゃない?
かわいくないし』
『わかる!!
一颯さん達と、明らかに
釣り合ってないもんね』
私、好き放題言われているな。
お兄ちゃんたちと、
私を敵視している女子たちに挟まれながら
歩いていると、
私の世界から、急に音が消えた。
女子たちのひがみすら、聞こえない。
私はその場に立ち止まり、
幸せオーラが溢れている
女の子を目でとらえた。
クルミちゃんだ……
隣には……
七星くん……
指を絡めながら手を繋ぎ、
耳にはお揃いのあのピアスをつけている。
どんな話をしているのかな。
二人が嬉しそうに笑いあっている姿が、
光を失った私の瞳に映った。
七星くんのことは、
昨日完全にフラれた時点で、
吹っ切ったはずなのに。
もう忘れるって、誓ったはずなのに。
幸せそうな二人を見ると、
まだ心が押しつぶされるように苦しくなる。
その時、
七星くんと目が合ってしまった。
ダメダメ!
こんなところで泣いちゃダメ!
泣いちゃダメって脳に命令をしているのに、
私の涙腺は言うことを聞いてくれない。
こんな瞳に涙がたまった姿を
見られたくなくて、
私はその場から走り去った。



